RFM分析とCRM

RFM分析

RFM分析でCRMが上手くいかない本当の理由

で、表題に対する答えは「使い方が悪い」。以上。

表題の由来はこれ RFM分析でCRMがうまくいかない理由 正直言ってRFMを分かってない人が書いてるし、例として書かれている用法もその力が発揮できないやり方ばかり書かれてる。正直言って「筋が悪い」。 このままではRFM分析の名誉に関わるのでツッコミがてら色々書いてく。[1]

RFM分析とは何ぞや?

を、書くにあたってRFM分析の成り立ちについて書かねばならないでしょう。もともと顧客評価の軸っていうのはMonetary(累計購買金額)だけだったわけです。これを10レベルに分けてそれぞれのレベルに応じてコミュニケーションを策定するというのが一般的なやり方でした。なぜMonetaryか?それは「ウチにお金を落としてくれる客が良い客である」という身も蓋もない、でも一番わかり易い理由だったからです。で、ここで金額順に並んだ顧客の一覧を見て、ふと思うところがる人がいたのです。それは「客単価幾らや?」というこれまた身も蓋もない、でもそれなりに納得出来る理由なわけです。そこで評価軸にFrequency(購買頻度)が加わるわけです。で、できたのがこのマトリクス。 fig1
つまり、客単価を上げるべき顧客と、購買頻度を上げるべき顧客を分類し、それぞれにあった施策を当てることで経営資源を効率的に活用できますよ。ということなわけです。 で、Recency(最終購買日)とは何を示すかというと、顧客の離反を示すアラートを出す基準なわけです。つまりMもFも十分高い顧客が急にポンと低ランクに落ることがままあり、それをケアするために追加された指標がRなわけです。先程のマトリクスにRの軸を足すとこうなります。 fig2
fig3
RFM分析の妙味はMだけで単純に線上で見ていたのものを平面(立体)に落としなおし、セグメントを細かくして効率的な資源配分をなそうというものです。 翻って上記の文にでてきた例を見てみましょう。
「RFMのランクが高い優良顧客から順に、DMをはじめとした販促物をバンバン送ったわけです。某有名百貨店では、「年間に送ったDMの数が365通よりも多かった顧客がいた」という、笑うに笑えない話が実際に起きています。もちろん、RFMのランクが高い優良顧客は、それが低いランクの顧客よりはヒット率が高いです。ですから、CRMの担当者は、会社の経営層に対して、「このランクの顧客に対するDMのヒット率は○○%で、RFM分析を用いたCRMは効果が高いです!」などと胸を張って報告しました」 これ、ほんとに筋が悪いです。基本的にはRFM全てが十分高い顧客には盛大な販促はしません。なぜなら彼らは十分高いロイヤルティがあり、購買意欲も十分と考えられるからです(プロモーションの効果も考えられますがそれを除くかどうかは費用対効果で)なら離反しない程度にリマインダを出すのが定石です。もっとケアすべきは優先順位順に

  1. MとFが高くてRが結構空いている人 
  2. Fが高くRが近くてMが低い人
  3. Mが高くRが近くてFが低い人

基本的にはそれ以外は直近金にならないのでケアしません。長期なものは長期で別に処置します。 RFM分析についてはここにもっとわかりやすく書いてあります。

OnetoOneマーケティングとCRM

ドン・ペパーズのOnetoOneマーケティングがでたのは1995年です。で、これは簡単にいうとITの発達によりターゲットが個々になったということですけど、実際1対1で結ばれているように見えたのは顧客側からで、企業から見たらセグメントは多少小さくなったにしろ群であり平面だったわけです。例として上手く言えてるかは分かりませんが対空兵器が炸裂弾から、地対空ミサイルに変わったようなものかと思います。つまり弾が自動的に目標を追いかけてくれるようになったということです。しかしそれは「個」客というものを念頭においたものでは必ずしもなかったと思います。 CRMも確か2001年ぐらいから言われてきたワードで、マーケティングの業界では珍しくないことですが我田引水的にそこら中で使われたせいでかなり定義付けが難しい言葉となっています。最大公約数的に引くならJournal of Marketing[2005]のPayneとFrowの図(ジャーナルの実物は英語だしそれなりの図書館しか無いので、有斐閣のニューリベラルアーツセレクションの「マーケティング」のCRMの項目をご参照のこと)にあるように単に顧客との長期的な関係のみにフォーカスするんじゃなくて、もっと企業戦略全体から見た短期も長期も戦略も戦術もひっくるめた広い概念になってる訳で。ただ、ざっくり言うと経営資源の「選択と配分」(バズワードだな・・・)を顧客にフォーカスして考えようよっていう事なわけです。 まあ、学問しかしてない先生方が云々という方は相手のしようがないですが・・・ となれば、顧客戦略の「選択と配分」を考える際のセグメントとしてRFM分析が利用出来るわけです。

CRMとRFM分析

基本的な利用法はさっき書いたとおり。ちょっと補足すると2点、「RFM分析はPDCAサクルにあってこそ、その力量を発揮する」という点と「RFM分析の弱点」という点。 さっきも書いたとおりRFMをまとめて、Aさんのランクが
fig4
とかやってしまうと、その持ち味が殺されてしまうわけで、本来は fig5
として顧客プロファイルにし、ケアすべき顧客群を見極めてケアする。 というのが本筋。 で、こう書くと「その抽出時(タイムスライス)によって、そのセルに入る顧客はその都度入れ替わ」るので長期にみた利益(LTV)的に良くないとおっしゃる向きがいますが、 いいんです。 少なくとも今ケアすべき顧客って言うのは「今」が旬なわけで、今稼がせていただいても構わないわけです(少々表現が下品になりました、すいません)もちろん上位の例のように関係を壊すぐらいアプローチするのは論外ですがここでケアしたところでLTVは下がりませんそれよりなによりチャンスロスです。チャンスロスしたら結局LTVは下がるわけで本末転倒って言う奴でしょう(てなことを、若い時中小企業の社長さんに言われてぐうの音もでなかったわけで) おっとっと、本題から外れてしまいましたね。で、マトリクスで戦略を建てられるという以外のRFM分析の利点というのは、

  1. 基本持っている売上データのデータを使うのでシステムに組み込みやすい
  2. 項目数が少ないので扱いやすい
  3. 明快で分かりやすく説明しやすい

というところにあります。PDCAサイクルで使用するには1と2が、報告連絡相談をするには3が利点なわけです。PDCAでケアすべきは時系列でのランクの推移例えばある顧客が第一4半期と第三4半期で下のような推移をしたとすると fig6
基本的にはアラートを出して対策すべきだと判別できます。どうやっても計測するごとに最低ある程度の確率で順位変動は発生しますのでそれが起こった顧客群を定期的にケアするわけです。もちろん項目軸を増やして細かな追跡をすることも不可能ではないですが分析のコストがかかりすぎる危険があります。たぶん定期的に追うにはこれがいいのではないかと思います。 最後に「RFM分析の弱点」ですが2点。まずはRFMしか分析軸がないのでランク移動の原因や効果的なコミュニケーション施策が見つけにくいということ。これは都度細かく見てくしか無いのでどう仕様も無いです。使いやすさをとった代償とも言うべき弱点です。 もう一つがもうどうしょうもなく、分析とか戦略立案とか提案とかのネタとしては退屈なんですよね、なんかこうワクワクしない。わりと簡単な数値で固めてるのでしょうがなっちゃしょうがないんですけど・・・・ [2]

最後に

この文章書く前にツイッターでバトルいた

まあ、昨日のツイッターでのやりとりを含めすれ違いなやりとりで終わるんでしょうが、ただ、ろくにツールについて分かってないとか使えてないとかなのに「RFMつかえね」とか言われると「ちょとまてちがうやろ」と言いたくなるのが人情という奴で、あのままこれがネット空間に残るとするとあまりにもRFM分析が不憫で不憫でしょうがなく、義憤やるせなく激情のまま突っ走りました。後悔はしていません。

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